目指そう保育士

保育士試験は独学で合格できる?

 
保育士は子どもたちの成長をそばで感じることができる人気の職業です。
高い専門性や技術を必要とされることから、保育士は国家資格に定められています。
そのため保育士を目指している方にとって、まずクリアすべき課題が「保育士試験」です。
 
指定養成校に通い保育士資格を取得する方法もありますが、「時間やお金をかけずに、自分のちからで合格してみたい」「これから学校に通うのは難しい」といった理由で、独学で保育士試験を目指す方もいるでしょう。しかし独学でも合格できるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
 
そこで今回は、保育士試験の概要や合格率などの基本的な情報から、独学で保育士試験を合格するメリットやデメリットについて紹介します。
保育士試験の受験を検討している方、独学で合格したいと考えている方はぜひ最後までご覧ください。
 
 

保育士試験の概要

 
保育士試験は受験資格がありますが、年齢に関係なく受験することができ、前期試験と後期試験の年2回行われています。
試験内容は、全9科目ある筆記試験と実技経験からなり、筆記試験を全科目合格すると実技経験に進めるという仕組みとなっており、筆記試験と実技試験の両方に合格することができれば、晴れて保育士になることができます。
 
 

筆記試験の内容

 
筆記試験は、2日間にかけて9つの項目の試験が行われます。
試験時間は、各項目60分です。
 
内容については以下の表にまとめています。

試験科目内容
保育原理1.保育の意義及び目的
2.保育に関する法令及び保育の基本
3.保育所保育指針における保育の基本
4.保育の思想と歴史的変遷
5.保育の現状と課題
教育原理1.教育の意義、目的及び子ども家庭福祉等との関連性
2.教育の思想と歴史的変遷
3.教育の思想と歴史的変遷
4.教育の制度
5.教育の実践
6.生涯学習社会における教育の現状と課題
社会的養護1.現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷
2.社会的養護の基本
3.社会的養護の制度と実施体系
4.社会的養護の対象・形態・専門職
5.社会的養護の現状と課題
子ども家庭福祉1.現代社会における子ども家庭福祉の意義と歴史的変遷
2.子どもの人権擁護
3.子ども家庭福祉の制度と実施体系
4.子ども家庭福祉の現状と課題
5.子ども家庭福祉の動向と展望
社会福祉1.現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷
2.社会福祉の制度と実施体系
3.社会福祉における相談援助
4.社会福祉における利用者の保護に関わる仕組み
5.社会福祉の動向と課題
保育の心理学1.発達を捉える視点
2.子どもの発達過程
3.子どもの学びと保育
子どもの保健1.子どもの心身の健康と保健の意義
2.子どもの身体的発育・発達と保健
3.子どもの心身の健康状態とその把握
4.子どもの疾病の予防及び適切な対応
子どもの食と栄養1.子どもの健康と食生活の意義
2.栄養に関する基本的知識
3.子どもの発育・発達と食生活
4.食育の基本と内容
5.家庭や児童福祉施設における食事と栄養
6.特別な配慮を要する子どもの食と栄養
保育実習理論保育所保育指針に記される保育の内容を踏まえて、
子どもの生活と遊びにおける体験と保育の環境を捉えた知識・技術

 
筆記試験の合格基準は100点満点中60点以上です。
ただし、教育原理と社会的養護の科目は2つで1科目とみなされ、それぞれ30点以上とらなければならないため、注意が必要です。
筆記試験では1科目が満点であっても、ほかの教科でクリアしていない場合は合格となりません。9科目すべて合格点以上とることで、筆記試験合格となります。
 
 

実技試験の内容

 
筆記試験をクリアすると、つぎは実技試験です。
実技試験の課題は以下のとおりです。
 
 

1.音楽表現に関する技術

 
ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかを選択して、2曲の課題曲を弾き歌いする試験です。
保育士は幼児に歌って聞かせるため、保育士として必要な歌と伴奏の技術、さらにリズムなどの総合的に豊かな表現をできることが審査基準となっています。
 
 

2.造形表現に関する技術

 
実技試験当日に与えられる条件に沿って、保育の一場面を絵画で表現する試験です。
情景や人物などを豊かにイメージした描写や色づかいができているかどうかが審査基準となっています。
 
 

3.言語表現に関する技術

 
3歳児クラスの子どもがいることを想定して、3分間のお話しをする試験です。
子どもの人数は20人くらいと設定されています。
 
保育士として必要な声の出し方や表現上の技術、幼児にたいする話し方ができているかどうかが審査基準となっています。
 
 

保育士試験の合格率

 
保育士試験の合格率は20%前後といわれており、令和2年度の合格率は24.2%でした。
この合格率は高いのでしょうか。福祉の国家資格である「社会福祉士」と「介護福祉士」との合格率を比較してみました。
令和2年度に行われた「保育士試験」「社会福祉士試験」「介護福祉士試験」の結果は以下のとおりです。
 

受験者数合格者数合格率
保育士44,914人10,890人24.2%
社会福祉士35,287人10,333人29.3%
介護福祉士84,483人59,975人70.9%

 
福祉の資格である「介護福祉士」は、筆記試験と実技試験の両方ありますが、合格率は70.9%です。
同じく筆記試験と実技試験の両方がある「保育士」は24.2%なので、合格率はおおきく差がひらいているのが分かります。
 
福祉の資格で最難関といわれている「社会福祉士」の合格率は29.3%と保育士と近い数字になっており、国家資格のなかでも難しい資格だといえるでしょう。
 
 

保育士試験を独学で受けるメリット・デメリット

 
試験内容や合格率を見て「保育士試験に合格するのは大変そう…」「やっぱり合格するなら、学校に通ったり通信講座を受けなければならないのでは?」と感じた方もいるのではないでしょうか。
しかし、保育士試験を独学で合格することは可能といえます。その理由は、独学で保育士試験を受けた場合のメリットの数々にあります。
独学で試験に挑戦するメリット、デメリットについて解説いたします。
 
 

メリット①受験方法のなかで費用を最小限に抑えられる

 
専門学校に通う場合の費用はおよそ200万円です。さらに2年間学校に通う必要があり、時間とお金の両方が必要になります。
通信講座の場合は、費用が5万円から10万円と学校に通うより安くなりますが、すぐに相談できる体制がないため、その点はデメリットといえるでしょう。
 
保育士試験を独学で行う場合、費用は基本的に0円です。もちろんテキスト代や有料アプリなどを使用すれば費用は発生しますが、なににどれだけの費用をかけるかについては自分で支出を管理することができます。そして、自分に合ったテキストや教材を見つけることができれば、受験方法のなかでもっとも費用を抑えることができるでしょう。費用への心配が少ないため、受験勉強により集中できるかもしれません。
 
 

メリット②自分のペースで勉強ができる

 
学校に通う場合、決まった時間に決まった席について、先生の指示に従って勉強を進めていく必要があります。しかし独学の場合、自分で勉強する時間を決めることが可能です。
たとえば、朝が弱くて午前中に勉強が進まないという方なら、午後や夜などの自分の集中できる時間帯に勉強をすることができるのです。
 
さらに勉強する場所も自分で選ぶことができます。
自宅で集中したいときはもちろん自宅で勉強が可能ですし、自宅で勉強がはかどらない、怠けてしまうと思ったら、近所のお気に入りのカフェに行くのもよいでしょう。自分に合わせて周りの環境を選ぶことができることもメリットのひとつといえるでしょう。
 
 

デメリット➀モチベーションを自分で維持しなければならない

 
保育士試験の試験科目は項目が多いため、広い範囲の知識を身につけなければなりません。専門用語も多いので、わからない単語や問題が出てくることもあるでしょう。
独学の場合だと先生や講師がいないため、自分で調べて答えを導かなければなりません。
そして保育士を目指すといった共通の仲間もまわりにいないため、励ましあうことができず、モチベーションが下がってしまうこともあるかもしれません。
保育士資格をもっている人や保育士を目指している人の知り合いを見つけるなどして、モチベーション管理をしていく必要があるでしょう。
 
 

デメリット②出題範囲や試験内容を自分で調べる必要がある

 
学校や通信講座の場合、試験の概要や資料について情報をもらうことができます。
しかし独学の場合は、受験方法や申請、試験内容や出題範囲について自分で調べる必要があります。
たとえば受験資格について自分が該当するかどうか迷った場合は、保育士試験事務センターに電話やメールで尋ねるなど自力で解決しなければなりません。
 
保育士になったらもっとさまざまな対応が求められます。子どもたちへの保育や保護者とのコミュニケーション、行事の準備や企画などたくさんの業務があります。いまのうちに自分で考えて行動できることに慣れることができるので、そういった点はメリットといえるかもしれません。
 
 

独学でも自分に合った勉強法で、保育士資格の合格を目指そう!

 
保育士試験は難関の試験ですが、独学でも自分に合った方法が見つかれば、合格は十分に可能といえます。
独学で保育士試験に挑戦することで、今回の試験合格だけではなく、将来のさまざまな困難にも応用することができるでしょう。
今回の試験を単なる資格試験と捉えずに人生の課題のひとつと考えれば、おのずとモチベーションもあがってくるはずです。自分に合った勉強法で保育士試験を合格できるといいですね。

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