保育士養成校

就職後に戸惑わないために。保育学生が“現場のICT”を体験した90分【有明教育芸術短期大学での授業事例】

はじめに

近年、保育現場ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しています。保育業務支援システムなどのICTツールは、すでに全国の保育施設の84%以上(※)で活用が進んでいます。 こうした時代の変化を受け、有明教育芸術短期大学では、学生が就職後に即戦力として、また前向きな心構えで現場に立てるよう、保育ICTを活用した実践的な授業を導入しました。 本記事では、同授業を担当された今泉良一先生に、導入の経緯や学生たちの反応についてお話をうかがいました。

(※三菱UFJリサーチ&コンサルティング「保育施設等における ICT 導入状況等に関する調査研究事業報告書」令和7年3月)

  • 【まとめ】
    ・コドモンを実際に活用している現役保育士の卒業生から、就職後の具体的な業務イメージやICTの活用術を直接学んだ
  • ・スマホを使った操作体験では、戸惑うことなくスムーズに連絡帳作成などに取り組み、「現場でもやっていけそう」という自信を醸成
  • ・文例機能などの便利さを享受しつつも、目の前の子どもの姿とマッチさせるための「考える力」の重要性を再確認
  • ・ICT化による環境改善を実感し、就職への不安を解消。離職防止や前向きなキャリア形成への寄与に期待

有明教育芸術短期大学

  • 実施学科: 子ども教育学科
  • 所在地: 東京都江東区有明
  • 科目名: 保育内容総論(必修)
  • 対象・人数: 3年生(約52名)
    お話を伺った方: 今泉 良一 先生

授業実施の背景:ICTにふれる意義とは

保育ICTに関する内容を授業に取り入れた背景を教えてください。

もともと「保育内容総論」という授業では、保育の基本を踏まえた保育内容の展開を中心に、多文化教育やSDGsなど、いまの保育を取り巻くテーマも扱っています。その枠組みの中で、ICTの活用経験も学生に提供したいと考え、当初の計画にはありませんでしたが急遽カリキュラムに組み込むことにしました。

私自身、10年以上現場で働いていた経験がありますが、当時はすべてが手書きで、正式な書類には修正テープすら使えない時代でした。しかし、今の学生たちにはICTという強力な味方があります。ICTによって業務負担が軽減されれば、その分の時間を子どもたちのために費やすことができます。それは保育者にとっても、子どもにとっても幸せなことです。

「事務作業に追われるのではなく、生まれた余裕を子どもの成長を見守るために使ってほしい。ツールの先にある『保育の本質』を大切にしてほしい」という想いがありました。

授業概要:現役保育士の卒業生を招いた実践的な学び

具体的な授業の内容について教えてください。

今回は、卒業を間近に控えた3年生を対象にした1コマ(90分)で授業を実施しました。まずは私から普及状況や具体活用例を説明しました。ICT活用は単に「便利になる」ということではなく、業務負担の軽減によって生まれた時間を、いかに「子どもと向き合う時間」に充てられるかが重要であると伝えました。

続いて、実際にコドモンを現場で使用している卒業生をゲストに招き、リアルなICT活用状況を話していただきました。勤務先での日々の業務である保護者への連絡や指導案(月案)の作成において、どのようにシステムが機能しているかを紹介してもらい、「みなさんが就職したあとも、こうしたツールを使って仕事をするかもしれません」といったメッセージも送られました。これにより、学生たちはより具体的に就職後のイメージを持てたのではないでしょうか。

授業の後半では、学生全員が各自のスマートフォンを使って、連絡帳機能の操作体験を行いました。事前に用意した職員アカウントでログインし、文例も活用しながら、学生自身が「保護者への伝え方」を考えて入力を行います。操作に不安がある学生をフォローするため、私と卒業生、そしてICT機器に詳しい事務職員の3名体制で机間指導を行いましたが、デジタルネイティブ世代ということもあり、ログインから入力まで非常に手慣れた様子でした。操作に詰まる学生はほとんどおらず、全体を通して非常にスムーズに進行しました。この実践的な体験を通して、学生たちは「現場でもやっていけそう」という手応えを感じたようです。

学生の変化と教員の視点:専門性とツールの融合

実際にコドモンを体験した学生の反応はいかがでしたか?

就職を控えた時期ということもあり、非常に前向きに取り組んでいました。実習先ですでにICTツールを目にしている学生も多く、「この時期に経験できてよかった」という声が多く上がっています。実際にシステムにふれることで、就職後の業務に対する不安が解消され、「ICTが導入されている園で働きたい」といった意欲の向上にもつながっていると感じます。

先生が授業を通じて、特に強調されたことはなんでしょうか。

ICTはあくまで便利な「ツール」であり、それを活用するには保育士としての専門性や言葉で伝える力が不可欠であるという点です。 例えば、システムにある指導計画の文例機能は非常に画期的ですが、それが目の前の子どもの姿とマッチしていなければ意味がありません。ICTによって事務作業が省力化されるからこそ、より質の高い保育を追求できるのだという本質を伝え続けたいと考えています。

今後の展望:「未来を感じながら」現場へ送り出す

今後のICT教育についての展望をお聞かせください。

学生のうちに一度でも操作を経験しておくことで、就職先がICT導入園であっても戸惑うことなく、本来の業務である「子どもとの関わり」に集中できます。その「心の余裕」こそが、新卒保育士にとって大きな支えになります。 「ICTによって現場は進化し、働きやすくなっている」という未来への期待感を持って社会に出ていけるよう支援したいですね。来年度も、継続的に最新のICT環境にふれる機会を提供していく方針です。


【保育士養成校の授業で活用できる保育ICT教材 無償提供プログラム】

コドモンでは、未来の保育士とそれを支える教員のみなさまへの応援企画として保育士養成校を対象に、保育現場で実際につかわれているものと同じ機能を授業で利用できる「保育ICT教材無償提供プログラム」を実施しています。ご興味のある養成校のご担当者様は以下のフォームよりお問い合わせください。

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養成校での【保育ICT検定初級】一斉受験

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