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保育士の「家賃補助」とは?もらえる手当について解説!


やりがいや自分の成長、保育理念など就職先を探すにあたって気になるポイントはそれぞれありますが、一人暮らしをしている方やこれから一人暮らしをしたいと考えている方がまず最初におさえておきたいのは「生活ができるかどうか」。つまり給与や福利厚生です。
 
保育士は平均より給与水準が低い傾向にあるため、一人暮らしできるのか不安に思う方もいるでしょう。
しかし、政府による保育士の処遇改善への取り組みにより、保育士の給料は年々改善傾向にあります。その処遇改善のための支援制度のひとつが家賃補助制度です。
 
今回は、保育士として就職をしようと考えている方に向けて、保育士の「家賃補助」について解説します。
 
 

保育士の「家賃補助」とは?

 
家賃補助は、住居費用の全額もしくは一部を援助する支援制度です。住宅手当や住居手当と呼ばれることもあります。
 
家賃などの住居費用は、生活費の中でも大きな割合を占めます。特に家賃が高い傾向にある都心部での就職を考えている場合は、制度を利用できるかどうかが重要になってくるでしょう。
家賃補助の取り扱いや条件、金額は各自治体や事業者、勤める保育園により異なりますが、地域によっては、ほとんど家賃の負担なく一人暮らしをすることも可能です。
 
まずは、就職を希望している保育園や自治体の家賃補助の取り扱いについて確認しましょう。
 
 

家賃補助の有無は保育園によってさまざま

 
希望する園が家賃補助制度を採用しているかは、自治体や事業者によってさまざまです。
家賃補助制度を利用したい場合は、「家賃補助を導入している施設」を探しましょう。
家賃補助制度にもいくつかの種類があり、利用する補助制度によって準備することも違うため、面接時などに制度を利用できるかどうかを確認し、利用希望者であることを伝えられるとよいでしょう。(家賃補助制度の種類については、次項でご説明します。)
 
 

対象者の条件がある場合も

 
家賃補助制度を利用するためには、対象者の条件をクリアする必要があります。
厚生労働省による制度の概要には、「採用された日から9年以内の常勤保育士」と記載されています。厚生労働省が出している条件をもとに、まずは居住地域の制度を確認して、自分が対象者であるかどうか確認してみましょう。
 
 
出典:令和3年度 保育関係予算概算要求の概要/厚生労働省
 
 

保育士の家賃補助の種類

 
家賃補助の取り扱いについて確認するには、どういった補助があるのかを知っておくことが必要です。保育士の家賃補助制度は大きく3種類に分けられます。
ここからは、それぞれのメリット・デメリットに触れながら解説していきます。
 
 

(1)個人で借りている住居に対しての家賃補助

 
保育士自身が選び、個人で賃貸契約を行った物件に対し、事業者が毎月定められた額の補助金(手当)を支給するという家賃補助制度です。
 
▶メリット
事業者から規定が提示されない限り、自分で自由に物件探しができます。
もちろん、社宅や寮に見られる門限、居住者以外の立ち入り、掃除当番、共同スペースなどもありませんので、自由に生活することができます。
「自分で物件を決めたい」「プライベートを自由に楽しみたい」という方におすすめです。
 
▶デメリット
入居時には敷金・礼金がかかり、更新料もかかります。一人暮らしにかかる費用を抑えたい方にとっては、出費がデメリットと言えるでしょう。
 
 

(2)社宅・寮に対しての家賃補助

 
保育園の所有する「社宅」や「寮」に一般的な賃料より優遇された家賃で住めるという家賃補助制度です。家賃の負担がかなり軽減され、入居できる物件が用意されており、物件探しをする手間がかからないため、「遠方に住んでいて物件探しが難しい」「初期費用や家賃などの負担を軽減したい」という方におすすめです。
 
▶メリット
一般的に、社宅や寮は事業者が宿舎として借り上げているため、物件探しや契約手続きなどの手間を軽減でき、敷金・礼金などの初期費用や更新費用が抑えられます。勤務先からアクセスしやすい物件に入居できるケースが多いため、余裕を持って通勤できます。
また、職場の同僚とより親しくなれる、身近に相談できる人がいて安心感がもてるという人もいるでしょう。
 
▶デメリット
物件によっては、トイレやお風呂が共同だったり、交代で掃除当番があるケースもあります。また、門限があったり、居住者以外の人(友人や家族)の立ち入り、宿泊が禁止されることもあります。
日常的に人と交流することに抵抗があり、ひとりの時間を大切にしたい場合は、職場の人が生活の場にいることにストレスを感じることがあるかもしれません。
 
 

(3)借り上げ社宅制度

 
国や自治体が保育事業者に対して、保育士の宿舎を借り上げる際の費用を負担する家賃補助形態のことを「借り上げ社宅制度」といいます。
国や自治体が保育士の住宅費用を補助することにより、保育士人材の確保・定着・離職防止を目的としています。
 
借り上げ社宅制度は、保育士への直接的な支援ではなく、事業者への支援となります。
個人的に利用することはできず、志望している施設がこの制度を利用している場合に、借り上げ社宅に入居することができます。
 
(2)の社宅・寮と同様、物件探しの手間がかからず、入居費用を抑えることが可能です。借り上げ社宅制度の場合、事業者が補助金額を一部負担するため、この制度を利用する保育士が複数いる場合に事業者の負担が大きくなることや、利用しない保育士と不公正感がでてしまうことを理由に、制度を利用しない事業者もあります。志望している園で、この制度を利用しているかどうかは確認が必要です。
 
令和3年に宿舎借り上げ支援事業が見直され、全国一律から地域に合わせた対象期間や補助金額が設定されました。
 
【対象者】採用された日から起算して9年以内の常勤の保育士
【補助金額】月額82,000円を上限として、市区町村別に一人当たりの月額(上限)の金額を設定
【補助割合】国:1/2、市区町村:1/4、事業者:1/4
 
出典:令和3年度 保育関係予算概算要求の概要/厚生労働省
 
東京都の補助金額基準は月額82,000円のままですが、比較的家賃相場の低いエリアでは、上限額が引き下げられているようです。
東京都内でも家賃相場の高い区や人口の多い県などは、自治体が独自で補助額を増額したり、独自の制度を取り入れたりしています。各自治体が保育人材の確保のため、さまざまな取り組みを行っています。
 
▶メリット
自治体や事業者、施設により異なりますが、厚生労働省が月額の上限額を82,000円と設定しており、補助金額が大きいことがメリットです。
 
▶デメリット
自治体により異なりますが、厚生労働省が補助の期間を9年以内と定めており、期限があります。
また、自治体の財源確保などの問題が生じた場合、補助金額が下がったり、制度自体が見直され、借り上げ社宅制度が終了することもありますので、注意が必要です。
 
 

参考:保育人材確保の取り組みについて/東京都福祉保健局
参考:保育士宿舎借り上げ支援事業/首相官邸
 
 

借り上げ社宅制度の一部自治体の例

 
家賃補助は、利用する地域によって制度や補助金額、利用条件など大きく異なります。一部自治体の例をご紹介します。
 
 

東京都千代田区

 
千代田区では保育人材確保のため、区独自で宿舎借り上げ補助を拡充し、区内住居の場合、月額上限13万円の住宅補助が支給されるようになりました。
千代田区は東京23区内でも家賃相場が高い区なので、千代田区の保育園で就職を検討している保育士にとっては、ぜひ活用したい制度ですね。
 
〇千代田区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金
【対象者】保育施設等に勤務する常勤の保育従事職員であって、世帯主またはこれに準する方
【補助金額】月額8万2,000円(賃借料、共益費、礼金、更新料の補助対象経費の実支出額が超える場合は月額最大4万8,000円加算される)
 
〇保育士奨学金返済事業補助金
【対象者】1.保育士養成施設を卒業して保育士資格を取得している
     2.在学期間中に借りた奨学金を自分で返済している
     3.雇用契約期間が1年以上で1日6時間以上かつ月20日以上の勤務である
【補助金額】年間上限24万円(年間の返済額が24万円未満の場合はその返済額が補助金額となる)
      最大240万円(最長10年間)


 
参考:千代田区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱/東京都千代田区
参考:保育士奨学金返済支援事業補助金/東京都千代田区
 
 

東京都港区

 
港区内の認可保育所に就職し、港区内に住む保育士は月額9万8,000円まで家賃補助を受けることができます。
港区の家賃相場は、一人暮らしの物件であっても約11万~12万円かかるとされています。住居が港区外の場合でも、月額7万1,750円まで家賃補助を受けることができるため、港区内の認可保育所に就職する場合は、ぜひ活用したいですね。
 

〇港区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金
【対象者】区内に存する保育施設等のうち認可保育所に勤務する常勤の保育士であって、当該保育施設等に採用されてから10年以内の方
【補助金額】宿舎が港区外に存する場合 月額7万1,750円
      宿舎が港区内に存する場合 月額9万8,000円
 
 
参考:港区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱/東京都港区
 
 

大阪府大阪市

 
大阪市は、潜在保育士(保育士資格を持っていても現在保育士として勤務していない、または勤務経験がない)が保育士として就職するための補助に力を入れています。就職準備金や、保育士自身の子どもを保育園に預ける場合の保育料などを、無利子で貸付してもらえます。
 
〇潜在保育士就職支援事業
【対象者】平成29年4月2日以降に保育所等に就職した保育士で、保育士登録後1年以上かつ保育所等を離職後1年以上経過した方
【貸付金額】上限40万円
【返還免除】この制度を利用した保育士が就職後2年以上継続して保育に従事した場合、貸付額が返還免除となる
 
〇未就学児をもつ保育士に対する保育料一部貸付事業
【対象者】平成28年12月以降に大阪市内の保育所等に新たに直接雇用されて勤務する保育士の方(その保育士の子どもを保育所等へ預ける場合)
【貸付金額】保育料の2分の1(上限2万7千円) ※勤務開始月から1年間
【返還免除】この制度を利用した保育士が就職後2年以上継続して保育に従事した場合、貸付額が返還免除となる


参考:大阪市内で保育士として働く方を支援します/大阪府大阪市
 
 

保育士の家賃補助の利用例

 
家賃補助を利用した場合の生活費についてシミュレーションしてみましょう。
総務省統計局が公表した「家計調査2021年度(表番号1)」によると、一人暮らしの1か月の平均生活費は155,046円*です。各項目の詳細は下記の表をご覧ください。
 

消費支出合計155,046円
食費38,410円
住居22,116円
水道光熱費11,383円
家具・家事用品5,687円
被服及び履物4,606円
保健医療7,625円
交通・通信18.856円
教養娯楽費17,106円
その他の支出29,251円

※統計データのため、合計数値に誤差あり

 
たとえば社宅制度を利用する場合、社宅や寮の家賃は、相場の20~50%と言われています。地域の家賃相場を調べ、社宅や寮の家賃の目安を確認してみましょう。
 
*あくまで全国平均のため、住んでいる地域や年齢、収入により異なります。
 
 

家賃補助を採用している施設の探し方

 
家賃補助の注意点でお伝えしたとおり、家賃補助の有無は保育園によってさまざまです。
働き始めてから家賃補助制度がなかったということがないように、家賃補助のある求人を探しましょう。
 
家賃補助などの住宅手当のある求人をお探しの方は、ぜひ下記のリンクよりご希望に合わせて検索してみてください。
 
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まとめ

 
今回は、保育士がもらえる手当のひとつである「家賃補助」について解説いたしました。
 
一人暮らしを考えている場合、毎月の固定費となる住居費用の負担は大きいですよね。家賃補助制度を活用することで、負担を少しでも軽減することが可能です。
 
家賃補助にはさまざま種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
まずは家賃補助制度の特徴を理解することが大切です。制度を利用する前にご希望の地域や園で利用できるか確認しましょう!

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