はじめに
保育現場でのICT導入が進む中、大学や専門学校においても学生のうちからICTにふれる機会の創出が求められています。 姫路大学では、保育士を目指す学生たちが現場に出た際の戸惑いを減らし、ICTを「保育の質を高めるためのツール」として活用できるよう、コドモンを活用した授業を実施しました。 本記事では、この取り組みを主導された和田真由美先生に、導入の経緯や、事例記録を活用した独自の授業内容についてお話をうかがいました。
【まとめ】
・「本物のシステム」に触れる体験が、実習で見てきた現場の動きと学生の知識を一本の線でつなげた
・文例機能をあえて「そのまま使わない」指導により、ICTの便利さを享受しながら保育者の専門性を再確認
・手書き記録をデジタル化することで、「子ども理解の視点を整理し直す」というアウトプットの価値を実感
・5分間の研修動画(コドモンカレッジ)の活用が、多忙な現場でも「学び続ける」未来の働き方をイメージさせた
・ICTを「子どもと向き合う時間を生み出す味方」と捉えることで、学生の就職に対する不安を自信へと転換
姫路大学
- 実施学科: 教育学部 こども未来学科
- 所在地: 兵庫県姫路市
- 科目名:保育者論(選択科目)
- 対象・人数: 2年生(約15名)
- お話を伺った方: 和田 真由美 先生
授業実施の背景:現場で使われているリアルなツールを学生に
ー 今回、ICTシステムを授業に取り入れようと思われたきっかけを教えてください。
以前から文部科学省の方針もあり、座学でICT事例の紹介はしていたものの、実際に現場で広く普及しているICTシステムそのものを、学生が一人ひとり操作する機会はこれまでありませんでした。
そんな中、コドモンを知り、「これなら学生が現場で使われているシステムの体験ができる」と感じたのがきっかけです。学生の多くは実習先で先生方がICTを活用する姿を見ていますが、自身がふれる機会はなかなかありません。就職してから戸惑うのではなく、学生のうちに「こういうものなんだ」という肌感覚を持っておくことで、現場に出る際の不安を自信に変えてほしいと考えました。
授業の様子:「便利さ」の先にある専門性を学ぶ
ー 具体的な授業の内容について教えてください。
2コマにわたる演習形式で行いました。1コマ目は、システムの基本的な操作方法と「月案」の作成に挑戦しました。学生たちが特に驚いていたのは「文例機能」です。これまでは書籍を何冊も広げて悩みながら考えていた文章が、クリックひとつで目安となるものが出てくることに、「すごい! 便利!」と歓声が上がりました。
しかし、そこで私は「便利だからといって、そのまま使えばいいわけではないよ」と伝えました。提示された文例を、目の前の子どもの姿や実態に合わせて自分の言葉で書き直す。その思考のプロセスにこそ、保育者としての専門性が活きることを伝えたかったからです。
ー 2コマ目では、より実践的なワークを行われたそうですね。
はい。2コマ目では「保育ドキュメンテーション」の作成を行いました。ここでのポイントは、「実際に自分が書いた手書きの記録」を手元に置いて作成したことです。
架空の事例ではなく、自分が実際に関わり、成長を感じた子どもの姿をベースに、ICTを使って構成し直しました。写真がなくても、そのときの光景を思い出しながら入力していくことで、「手書きの必要性」と「デジタルツールの汎用性」を確認することができて、深い学びになりました。

ICT活用の広がり:研修動画が「働き方」と「学び」のイメージを変える
ー 「コドモンカレッジ」の研修動画も授業中に視聴されたとのことですが反応はいかがでしたか?
学生には、ICTを活用することで「いかに主体的に学び続けられるか」も知ってほしいと考え、研修動画を自由に視聴する時間を作りました。これが予想以上に学生の心に響いたようです。
学生たちは実習を通じて、現場の先生方がどれほど多忙かを肌で知っています。そのため「いつ勉強する時間があるのだろう?」という疑問を持っていましたが、「コドモンカレッジ」の中に5分程度の動画で隙間時間に専門的な知識を学べる仕組みがあることを知り、非常に驚いていました。
ー 具体的にはどのような動画に興味を持たれていましたか?
特に印象的だったのは、手遊びの動画ですね。単に「楽しい遊び」として紹介するのではなく、「この動きが発達のどの段階に結びついているか」を専門家が数分で解説してくれるんです。授業で習う「発達理論」と、現場で実践する「手遊び」が、研修動画を通じて学生の中でひとつにつながったようでした。中には、画面の先生の動きに合わせて、自分の手元で一生懸命に手遊びを真似しながら見入っている学生もいました。
また、嘔吐の処理や感染症の対応などは、イメージしにくい部分ですよね。それが5分くらいの動画で繰り返し確認できるのは、わかりやすいなと思いました。
今の時代、インターネットで調べればなんでも出てきますが、どれが正しい情報なのか選ぶのが難しい。その点、コドモンカレッジは専門家や著名な先生が講師をされているので安心して見られます。これからひとりで現場に出ていく学生たちにとって、困ったときにすぐ助けを求められる場所があるというのは、すごく大きな安心感につながったはずです。
ICTを使って事務作業を効率的に行い、その分、子どもと向き合ったり自分を磨いたりする時間に充てる。そんな「保育をより良くするためのよいサイクル」を学生たちが具体的にイメージできたことは、今回の授業の大きな収穫だったと感じています。
今後の展望:自信を持って社会へ羽ばたくために
ー 今後のICT教育についての展望をお聞かせください。
今年度の実践を通じて、学生たちが楽しみながら、かつ真剣にICTに向き合う姿を見ることができました。来年度以降も継続して実施したいと考えています。 今回は初めての試みで手探りの部分もありましたが、今後は保護者への連絡機能など、まだ深くふれられていない機能も活用し、より現場に近いシチュエーションでの演習を充実させていきたいですね。
保育現場のデジタル化は急速に進んでいます。学生たちが「ICT=難しい」と敬遠するのではなく、「便利な味方」として活用し、自信を持って社会に羽ばたいていけるよう、しっかりとサポートしていきたいと思います。
【保育士養成校の授業で活用できる保育ICT教材 無償提供プログラム】
コドモンでは、未来の保育士とそれを支える教員のみなさまへの応援企画として保育士養成校を対象に、保育現場で実際につかわれているものと同じ機能を授業で利用できる「保育ICT教材無償提供プログラム」を実施しています。ご興味のある養成校のご担当者様は以下のフォームよりお問い合わせください。
