男性は保育士になれるの?需要はあるのか? 目指そう保育士

男性は保育士になれるの?需要はあるのか?

保育士の職業に興味はあるものの、一歩が踏み出せずにいる男性も少なくないのではないでしょうか。「保育士」というと女性のイメージが強く、実際に現在保育園で働いているのは多くが女性です。
しかし、男性でも保育士になることはでき、男性保育士を求めている保育園も増えてきています。

そこで今回は、男性が保育士として活躍できる理由や、男性保育士の需要や現状の社会課題を紹介していきます。

男性でも保育士として活躍できる理由

結論から言うと、男性でも保育士になれます。
しかし、皆さんのイメージ通り、女性の方が多いのが現状です。
では、なぜ今まで男性保育士が少なかったのでしょうか。

理由の1つとして、子育てや子どもに関することは女性がするものという風潮があったことから、かつては「保育士」という名称ではなく「保母」と呼ばれていました。そのため、「保母=女性」を想定されており、男性が保育に携わる機会は少なくなっていました。

男性が保育に携われるようになったのは1977年以降で、児童福祉法の改正により男性も「保母に準ずるもの」と呼称されるようになりました。これにより、男性も児童福祉施設において児童の保育に携わることができるようになりました。

1985年には男女雇用機会均等法が制定され、男性保育士が増加したことにより「保父(ほふ)」という名が用いられるようになりました。しかし、資格の正式名称は「保母」のままでした。

1999年になり、児童福祉法が改正し正式名称が「保母」から「保育士」に変更され、国家資格になったことがきっかけで、保育士を希望する男性が増加しました。

なお、男性が保育士になるための、資格取得の方法や働き方に関しては女性との違いはありません。
上記のような背景が関係し、男性保育士は少ない傾向にあったと言えます。

男性保育士は需要が高まってきている

近年は少子化と言われていますが、都市部などでは「待機児童」もまだまだ多く、保育士は不足しているのが現状です。
そのため、女性・男性ともに需要は高いですが、特に男性保育士の需要は拡大傾向にあります。
なぜなら、「育児=女性」といった性差がなくなりつつあることや、母子家庭の増加などの背景が考えられるからです。
乳幼児期は、母性だけではなく、父性の関わりも重要になります。

たとえば、母子家庭の子どもにおいては、母親や女性保育士が父親的な関わりを行うのは難しいため、男性保育士が父親や兄の代わりになることで、子どもの健全な成長を援助できるでしょう。
また、男性保育士が存在することで、男性の育児参加を促す役割も担っています。
今後も、男性保育士の需要は高まっていくと言えるでしょう。

男性保育士の割合

男性保育士の割合も年々増えてきています。
下記のグラフは、厚生労働省が発表した、男女別の保育士登録者数の割合を表したものです。

保育士資格_男性女性の登録者数

【引用:厚生労働省|保育士登録者数等(男女別)

男性保育士の登録者数を見ると、平成26年の54,423名に対し、令和2年では82,330名もの男性が、保育士の登録を行っていることがわかります。
また、多くの養成校では、学生全体の約1割が男性というデータもあり、中には3割が男子学生という専門学校も見られます。

今後も男性が保育士資格を取得する数は増えていく傾向にあると言えるでしょう。

男性保育士の魅力

男性保育士の魅力

保育士は女性がメインだと思われがちですが、男性保育士がより活躍できる魅力が多数あります。
具体的に、見ていきましょう。

力仕事を任せられる

保育園では、意外に力仕事が多いです。
たとえば、夏まつりなどの行事でステージやテントの設置、発表会に使う大道具の運搬などがあります。
現状、女性だけで行っていることが多く、女性だけでは時間がかかったり、体に負担がかかり腰痛などを起こす保育士も少なくありません。
男性は女性より筋力があるので、こうした力仕事の際に任せることができ、頼りにされます。
また、送迎バスがある保育園では、バスの運転を任せられるケースもあり、男性保育士ならではのやりがいを感じている人もいます。

防犯対策になる

男性保育士は、防犯の面でも心強いです。
保育園は、大勢の子どもの命を預かっているため、防犯対策は重要視しています。

そのため、園内に不審者が侵入した場合の対策として男性保育士が率先して対応にあたることが多いです。また、散歩や園外活動をする際にも、園児が不審者に声を掛けられる可能性があります。その際も男性保育士が間に入って対応することで防犯の強化につながります。

男性保育士がいるだけで、不審者が近づく・侵入してくる可能性が減り、保護者にとっても、保育園にとっても安心できます。

男性ならではの遊びができる

3,4,5歳児になってくると、体力もつき、体を使ったパワフルな遊びも増えます。

そのため、男性保育士ならではのダイナミックな遊びができるのも魅力です。例えば、思いきり追いかけっこをしたり、ボール遊びをすることができ、子どもから人気になるでしょう。
また、男性と女性では、発想の違いもあります。

たとえば、砂場で子どもから「大きな山を作りたい」と言われたとしましょう。
ほとんどの人は砂場の中に少し大きな山を作りますが、男性の中には大きなシャベルを使って「砂場全体を山にする」といった発想をして、大きな山を完成させる人もいます。
子どもはその大きな山を見て大喜びして、新たな遊びを発見したりします。
このように、男性保育士ならではの発想や遊びで活躍できます。

ステップアップが期待できる

女性の大半は、結婚・出産を機に退職、あるいは産休・育休を取得します。

一方、男性は継続的に働くことができる機会が多いためキャリアが途切れることがなく、主任や園長候補になる可能性が女性より高いケースもあります。
そのため、数年保育を経験するとクラスリーダーや主任といった立場になることが多いようです。

リーダーや主任になることでマネジメント力が身についたり、頼りにされる立場になります。また、園長の補佐としても活躍する場合も多く、保育園運営などに携わり経営力も身につくなどのスキルアップが見込めます。もちろん、役職を持つことで昇給も期待できるでしょう。

近年では男性の園長先生も増えてきており、その中にはもともと保育士として働いていたという人が多く見られます。

男性保育士の社会課題

男性保育士の魅力を紹介してきましたが、まだまだ男性保育士に関する課題があるのも否定できません。この章では、男性保育士の社会課題と保育業界の取り組みについて、解説していきます。

給与が低い

社会課題のひとつに、保育士の給与が挙げられます。保育士の給与が一般企業で働く人と比べて低いといわれています。厚生労働省が行った「平成28年賃金構造基本統計調査」では全業種の平均年収は「489.9万円」でしたが、保育士の平均年収は「326.8万円」と160万円ほど低い結果でした。
また、保育士は男女で待遇の差もほとんどないため、結婚して家族を養うとなると厳しく、離職の原因にもなっています。

そのため現在は、保育士の離職率を下げる目的で、国として保育士処遇改善などの対策を進めています。
保育士処遇改善とは、おもにキャリアアップ研修をすることで給与に手当が上乗せされたり、保育の経験年数によって上乗せされるといった対策です。
また、自治体が独自に給与・賞与とは別に手当を出しているところもあり、さまざまな形で待遇の改善が進められています。

保育園の環境が整っていないことがある

男性用の更衣室やトイレなど、環境が整っていない園も多くあります。
理由の一つとして、今までは保育士のほとんどが女性だったため、設備として設けていなかったからです。環境が整っていない観点から、男性保育士が働きにくいと感じることもあるため、自治体でも改善が進められるようになってきました。

たとえば、千葉県の例を挙げてみましょう。

千葉県では、2017年に、「男性保育士活躍推進プラン」が策定されました。ひとことで言うと、男性保育士が働きやすい環境を作るための取り組みです。
計画では、下記のような活動が示されています。

・男性保育士と女性保育士の更衣室をパーテーションで仕切る
・トイレの分離化
・保育行事などを通し、男性保育士の魅力を積極的にアピール
・保育士を目指す男子学生に向けて、男性保育士を養成校に招いて説明会を開き、安心して就職ができるように支援

【参考:千葉市立保育所男性保育士活躍推進プラン

今後も全国で千葉県のような対策が増えていくと考えられています。

女児との関わりについて賛否がある

保育現場では、男性保育士が女児と関わることもよくあります。
たとえば、下記のような関わりを行った際に快く思わない保護者がいる場合があります。

【男性保育士が女児に行う対応の例】
・オムツを替える
・トイレに連れて行く
・着替えに対応する

こういった状況に対して、保育園では事前に男性保育士が所属していると保護者に説明を行ったり、実際に保育をしている様子を公開して警戒心を取り除く対策を行っております。

この問題で一番大切なのは、保護者と保育園が信頼関係を築き、「どの保育士も子どもに真摯に向き合っている」と理解してもらうことがカギとなります。

需要が高まる男性保育士

今回は、男性保育士について紹介してきました。
まだ女性が多い保育士業界ですが、男性でも保育士になることは可能であり、男性保育士の割合も増えてきています。
また、保育現場では男性保育士を必要としている園も数多くあります。

子どもが好きな男性、保育の仕事に興味のある男性は、ぜひ、保育士を目指してみませんか?

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