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【保育士の定年事情】何歳まで働ける?長く働くためのポイント

 
保育士を目指し就職を考えている方の中には、「何歳まで働けるのか」と不安に思っていたり、「長く働ける職場を探したい」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、事前にポイントを押さえておけば、定年まで現役で活躍することも可能です。
 
そこで今回は、保育士の定年事情や、保育士としてできるだけ長く働くためのポイントをご紹介します。就職活動の際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
 

保育士は何歳まで働ける?

 
一般的な会社員の定年年齢は60歳です。また、2013年に政府が改定した「高年齢者雇用安定法」により、2025年4月までにすべての会社が65歳を定年とする方針に決まりました。
 
では、保育士の定年年齢は何歳になるのでしょうか。実は、保育士の定年時期は就職先によって異なります。ここでは、保育士の定年制度について詳しくご紹介します。
 

保育士の定年制度

 
保育園も一般企業と同じく定年制度を設けている場合がほとんどです。ただし、公立保育園か私立保育園かによって定年年齢は異なります。
 
 

公立保育園の場合

 
公立保育園で働く保育士は「地方公務員」にあたります。そのため、公務員の基準が適用されます。2022年現在の定年年齢は60歳です。
 
ただし、公務員においては、2021年6月3日の参議院本会議で公務員法改正法案が可決されました。これにより公務員の定年年齢は、2030年度から65歳になります。2023年度から2年ごとに1歳ずつ定年年齢が引き上げられる予定です。
 
また、定年年齢が65歳に完全移行するまでは、定年した後に65歳まで再雇用を受けることになります。再雇用制度は希望制となっているため、希望しない場合は再雇用を受ける必要はありません。
 
 
参考:公務員法改正法案が可決・成立~定年引上げが実現へ-6/4/公務労協
参考:国家公務員法の一部を改正する法律案の概要/内閣人事局
 

私立保育園の場合

 
私立保育園は経営者の定めた基準により、定年年齢が異なります。現状では一般企業や公務員と同じく、60歳を定年年齢としている園がほとんどのようです。
 
また、働きやすい職場づくりを目的として、再雇用の制度や定年年齢の引き上げを行っている保育園も少なくありません。
 
私立保育園は園の方針や経営理念といった部分に大きく左右されるため、就職する際は、事前に「再雇用の制度の有無」や「退職年齢の変更があるか否か」といった点についても調べておくといいかもしれませんね。
 

保育士の平均年齢は低い?

 
「保育士は若い方が多い」といったイメージをもっている方もいるでしょう。実際に保育士の平均年齢はどれくらいなのでしょうか。
政府統計ポータルサイトの「賃金構造基本統計調査」を元に、保育士の平均年齢をご紹介します。
 

保育士の平均年齢

 
「賃金構造統計調査」によると、2019年の保育士の平均年齢は「36.8歳」です。幼稚園教諭は「34.3歳」、全職種では「42.7歳」となっています。全職種と比べると、やや低いことが分かります。
 
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組(令和2年8月24日)」によると、30歳未満の方が全体の3分の1を占めていると記されている一方で、60歳代以上も5.7%、70歳以上も0.7%となっています。
 

2017年(平成29年)2018年(平成30年)2019年(令和元年)
保育士36.0歳36.8歳36.8歳
幼稚園教諭33.4歳33.8歳34.3歳
全職種42.3歳 42.2歳42.7歳

※企業規模計(10人以上)の平均数値
※一般労働者・短時間労働者含む
 
2019年までの3年間で比較してみると、どの職種も年々上がっています。厚生労働省が保育士が働きやすい職場づくりを推進していることもあり、今後も平均年齢は上がっていくでしょう。
 
 
出典:賃金構造基本統計調査/政府統計ポータルサイト
出典:保育士が働きやすい職場づくりのための手引き/厚生労働省
 

平均年齢が低い理由

 
保育士の平均年齢が低くなっている主な理由としては、以下の二つが挙げられます。
 
・女性が多い
保育士の9割が女性と言われています。日本の働く女性の場合、結婚や出産といったライフイベントを期に、家庭に入ることを選択する方が少なくありません。家事や育児に専念する時間を確保するために、保育士を退職するケースが多いようです。
実際に、先述の「保育士の現状と主な取組(令和2年8月24日)」(厚生労働省)において、退職者の退職理由の30%が結婚、18%が出産・育児という結果が出ています。
 
・キャリアアップのイメージがつかめない
キャリアアップのイメージを持ちにくいのも、離職が進む理由の一つです。一般的な会社員に比べて階級が少なく、安定的な昇格・昇給が難しいイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。
厚生労働省が取り組んでいる「キャリアアップ研修」により、新たな役職が追加されています。このキャリアアップ研修により、経験年数などの条件がありますが、昇格・昇給に対するハードルは下がっているといえるでしょう。

それでも、園長や副園長といった役職に昇り詰めるまでには、ある程度の経験年数が必要です。キャリアアップや年収アップを目指すために、早めに別の職種に転職するという選択をする方もいます。
しかし、専門性を評価し、キャリアとして待遇に反映させるための仕組みを整えている自治体や園もあります。昇給・昇進の規定のある園や研修が充実している園を探すことで、キャリアアップを図りやすくなるかもしれませんね。
 
 
昇給昇進ありの保育園を探す
研修が充実している保育園を探す
 

保育士として長く働くためのポイント

 
定年の60歳まで働けるとしても、「本当に自分は長く働けるのか…」と心配になることもあるでしょう。
長く働いているベテラン保育士は、保育現場にとっても重要な存在です。「同じ保育士にできるだけ長く働いてほしい」との思いから、福利厚生を充実させている保育園もたくさんあります。
ここでは、保育士として長く働くためのポイントをご紹介します。
 
 

働きやすい職場を選ぶ

 
就職の際は、働きやすい環境作りを行っている保育園を選びましょう。注目すべきポイントは以下のとおりです。
 
・通勤のしやすさ
・職場の雰囲気
・産休や育休などの福利厚生
・勤務形態を変更できるか など
 
働く環境が悪いと「早く退職したい」「転職したい」といった気持ちが出てきやすくなります。できるだけ気持ちよく働ける職場を見つけることで、長く働き続けられる可能性が高まるでしょう。
 

ライフスタイルに合った勤務形態を選ぶ

 
結婚や出産に合わせて、短時間勤務やパート勤務などに変更するのも方法の一つです。
正社員の保育士だと、家庭との両立が難しい場合もあるでしょう。
子どもが小さい内は短時間勤務やパート勤務で働き、大きくなったら正社員で働くなど、ライフスタイルに合った働き方を選べるとよいでしょう。
 

キャリアアップして業務内容を変える

 
保育士は、子どもと一緒に遊んだり抱っこをしたりと体力が必要な仕事です。

年齢を重ねると体力が心配になりますが、保育士として長く働くために、業務内容の変更を検討しましょう。
例えば、主任や副園長といったポジションになれば、担任業務を行う機会が減り、以下のような仕事をフレキシブルに行うことになります。
 
・園の運営
・人材育成
・研修の企画
・担任サポート
・行事運営
・事務作業 など
 
保育園では担任業務だけではなく、さまざまな仕事があります。経験を重ねたベテラン保育士は、保育現場にとってとても貴重な存在です。主任や副園長といった役職に就いて、体力を使う仕事は若い先生に任せ、サポートに回り、事務作業や保護者対応はメインで対応するなど、役割分担ができるとよいですね。
 

まとめ

 
保育士にも定年はあります。現在は60歳に設定されているのが一般的です。ただし、具体的な年齢は、保育園の種類や方針によって異なります。
 
できるだけ長く働くためのポイントは、「働きやすい職場を選ぶ」「ライフスタイルに合った勤務形態を選ぶ」「キャリアアップして業務内容を変える」の三つです。
 
最近では、保育士が働きやすい環境づくりを積極的に行っている保育園も少なくありません。今のうちに将来のキャリア形成について真剣に考え、自身の希望に合った保育園を探しておきましょう。

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