【徹底解説】保育士の面接対策をすべて教えます 就活面接対策

【徹底解説】保育士の面接対策をすべて教えます

就職活動(以下、就活とする)において、多くの場合は採用面接を行います。面接は就活生と保育園側とがお互いに合うかどうかを見極める大事な場です。就活生は求人情報や保育園のホームページから情報を知ります。一方、保育園側は就職希望者の履歴書から就活生の情報を知ることができます。しかし、それだけでは就活生が就職で実現したいことや希望の働き方を伝えきることはできず、園側も採用したい人物像であるかどうかの見極めができません。そこで面接を通してお互いの意向や園との相性、就職してからの働き方など、書面上では読み取れない情報を得てから実際に採用をするか、就活生側は内定を承諾するかどうかを判断します。

慣れない面接の場では緊張してしまう方も多いと思いますが、園の面接担当者によりよい印象を持ってもらうにはどうしたらよいでしょうか。今回は保育士の面接対策について、事前準備から面接での質問の事例まで詳しく紹介していきます。

  1. 保育士の面接で評価されるポイント
    1. 就活生の人柄を見る
    2. 就活生の考え方を見る
    3. 就活生の経験や知識を見る
    4. 就活生の保育スキルやマナーを見る
    5. 就活生の保育にかける熱意ややる気を見る
  2. 保育士の就活に向けての事前準備はしっかり
    1. 興味がある園の資料請求やホームページ情報を確認する
    2. 就職フェアや合同説明会に参加し、比較する
    3. 園見学に行く
    4. 時事ニュースをチェックする
    5. 自己分析をする
  3. 採用面接で意識するポイント
    1. 清潔感のある服装や髪型・メイク
    2. 入退出時の挨拶
    3. 丁寧な言葉遣い
    4. 面接中の姿勢
    5. 面接中の視線
    6. ハキハキとした話し方と返事
    7. 面接官が話している時の相槌
    8. 質疑応答では結論から述べ、簡潔に話す
  4. 採用面接の流れ
    1. ①入室・着席
    2. ②自己紹介
    3. ③志望動機
    4. ④質疑応答
    5. ⑤園に対しての質問
    6. ⑥退室
    7. ⑦実技試験
  5. 【面接のポイント】入室・着席
    1. 入室で面接官がチェックするポイント
    2. 入室の流れ
  6. 【面接のポイント】自己紹介
    1. 自己紹介で面接官がチェックするポイント
    2. 自己紹介の事例
  7. 【面接のポイント】志望動機
    1. 志望動機で面接官がチェックするポイント
    2. 志望動機の事例
  8. 【面接のポイント】質疑応答
    1. 質疑応答で面接官がチェックするポイント
    2. よくある質問
  9. 【面接のポイント】園に対しての質問
    1. 園に対しての質問で面接官がチェックするポイント
    2. 園に対しての質問の事例
  10. 【面接のポイント】実技試験
    1. ピアノ
    2. 絵本
    3. 手遊び
  11. 【面接のポイント】退室
    1. 退室で面接官がチェックするポイント
    2. 退室の流れ
  12. 質疑応答の事例10選(注意するポイントと回答事例)
    1. 「自己PRをしてください」
    2. 「自分の長所と短所を教えてください」
    3. 「なぜ保育士になろうと思いましたか?」
    4. 「保育士という仕事の魅力は何だと思いますか。」
    5. 「どんな保育士になりたいですか?」
    6. 「今までで頑張ったことを教えてください」
    7. 「今までで大変だったことを教えてください」
    8. 「趣味や特技はありますか」
    9. 「最近気になるニュースを教えてください。」
    10. 「ピアノは得意ですか」
  13. 面接は事前準備と練習が大切

保育士の面接で評価されるポイント

就活に向けて、面接の練習を始める方も多いと思います。履歴書に書いた自己PRや志望動機を暗記して言えるように、とそんな練習をしていませんか? まずは保育士の面接において、園の担当者は就活生のどのようなところを見ているのかについてご紹介します。

就活生の人柄を見る

明るい性格か、笑顔はあるか、など会話を通じて就活生がどんな人柄であるかを見ています。当たり前のようですが、保育士として働くうえで笑顔はとても大切です。また、保育士同士の連携、保護者との信頼関係を築くためのコミュニケーション力も重要視しています。緊張した場面でも、焦らず笑顔で受け答えができるといいですね。

就活生の考え方を見る

例えば困難なことが起きたとき、投げやりな対応になってしまうのか、それとも前向きにとらえて乗り越えようと思えるのか、就活生の課題解決に対する考えを見ています。どちらがよい印象を与えるかは一目瞭然ですね。自分がどのような考え方を持った人であるかを伝えるには、過去の具体的なエピソードを入れて話すのがわかりやすく、相手にも伝わりやすいのでおすすめです。面接の練習をする際は、自分の考えやエピソードを簡潔に伝える練習をするのがおすすめです。

就活生の経験や知識を見る

新卒の就活生であれば、これまでの学校生活の中でどのような経験をしてきたのか、どのような体験から何を学んだかを重視します。また中途採用であれば、以前の職場ではどのような保育経験があるのか、どのような点を大切にしているのかについて注目しています。保育に役立つ経験があるかどうかや、ニュースなどの時事的な知識についても質問されることがありますので、自分のことだけでなく世の中の動きについても目を向けておくといいでしょう。

就活生の保育スキルやマナーを見る

保育のスキルについて話すのは新卒には難しいと思うかもしれませんが、実習やボランティアでうまく子どもと関わることができたか、という点もひとつの判断基準になります。具体的なエピソードを話しながら、保育実習で学んだことや経験して感じたこと、今後挑戦したいことなどをまとめた自己PRを用意しておくと安心です。

マナーについては、一般的な社会人のマナーを学んだうえで面接にのぞみましょう。保育士である以前に社会人としてのマナーが身についているかという部分も見られています。清潔感ある身なりであること、相手の目を見てゆっくり話すこと、相手が話しているときには相槌を打ちながら聞くこと、尊敬語や謙譲語を使えることなど最低限のマナーについては自然に実践できるよう普段から意識しておきたいですね。

就活生の保育にかける熱意ややる気を見る

なぜ保育士になりたいのか? という保育にかける思いのほかに、なぜこの園を希望したのか? という部分も見ています。どこの園でも通じるような志望動機を言ってはいないか、ここで働きたいという熱意はあるか、という点は重要ですので、事前に自分の志望理由を整理して答えられるようにしておきましょう。

保育士の就活に向けての事前準備はしっかり

保育園の園見学

そろそろ就活を、と思っても何から始めたらよいかわからないという方もいるでしょう。いざ就活の時期になってから焦ることのないように、事前準備はしっかりとしておくと安心です。ここでは事前準備ですべきことを、5つのポイントにしぼって紹介します。

興味がある園の資料請求やホームページ情報を確認する

就活の前であっても、働きたい地域など就職に関するおおまかなの希望は持っていると思います。その中で興味のある園があれば、ホームページで情報を確認しておきましょう。資料請求ができる園もありますので活用してください。確認しておきたい項目は保育理念、保育方針、園の規模、保育の特徴などです。これらの項目が自分の希望と合っているか、ここで働きたいと感じるかどうかを見ておきましょう。

就職フェアや合同説明会に参加し、比較する

保育士向けの就職フェアや合同説明会での情報収集も、就活を有利に進めるうえで重要です。人事の方だけでなく、園長や保育士が説明に来ているケースもあり、園のリアルな情報が聞けるチャンスです。また、さまざまな園が参加しているので比較検討するにはうってつけと言えます。開催情報は学校で聞いたり、インターネットや地域の広報誌に掲載されていることもありますので逃さないようにチェックしておくようにしましょう。

園見学に行く

気になる園があれば、積極的に園見学に行きましょう。実際に園内を見ることで得られる情報は大きいです。園の規模や設備、保育の内容、子どもとの関わり方、職員同士の雰囲気など、ポイントを抑えて見学にのぞむようにしましょう。確認したい情報を事前にまとめておくことでその後の面接や就職も有利になる可能性があります。

時事ニュースをチェックする

アンテナを広げて、近年の保育ニュースに目を通すようにしましょう。待機児童問題や虐待に関するニュースのほか、保育の制度など新しく施行されるものもありますので、面接で聞かれても答えられるようにしておくと安心です。

自己分析をする

自分に合った保育園に就職するためにも、自己分析は必須といえます。どんな保育がしたいのか、自分の長所短所はどこか、求人の条件で重要視する項目はなにか、などできれば履歴書を書くまえにまとめておけるといいですね。項目別に簡単にお伝えしますので参考にしてみてください。面接で使えるより具体的な回答例については、後述する質問事例にて紹介しています。

◆保育観について
どんな保育がしたいか、どういった保育士になりたいかという保育観について考えます。面接で聞かれることが非常に多い内容ですので、具体的なエピソードなども含めることができるとよりよいでしょう。

◆長所と短所について
長所は、保育士として働くうえで役に立つことだと評価につながりやすいと言えます。短所はそのまま伝えるのではなく、裏をかえせば長所ともとれる言い回しをすると好印象となるでしょう。

◆希望する条件について
求人情報にあるような給与、福利厚生、勤務地についての希望のほか、園の保育方針、立地規模など自分の保育観と合うかどうかを検討します。複数の園を比較した際に、どの項目が最優先かという優先順位を決めておくことも大切です。

採用面接で意識するポイント

面接の身だしなみ

保育士の面接で評価されるポイントについては前述のとおりですが、それ以外の部分、社会人としてのマナーが身についているかという点ももちろん評価されています。特に注意したい項目を以下に紹介しますので、これらのマナーを守って面接にのぞみましょう。

清潔感のある服装や髪型・メイク

いくら経歴が素晴らしく保育のスキルに優れていても、第一印象が悪いと正当な評価はされにくいものです。華美なものは避け、清潔感のある身なりで面接を受けましょう。顔色が映える明るい色の服を選ぶのもおすすめです。

◆スーツはアイロンをかけて、靴もきれいにしておく。
◆上着が必要な場合は汚れがないか確認する。
◆長い髪はまとめて、前髪が顔にかからないように。
◆メイクは派手にならないよう気を付けます。ただし、ノーメイクもNGです。
◆爪は短くして綺麗に整えておきます。ネイルアートはしない方が好ましいです。

入退出時の挨拶

入退室時に発する言葉は、面接の最初と最後の言葉になります。第一印象に影響する大事な挨拶ですので気を抜かず、はきはきと聞き取りやすい声で話すようにしましょう。

丁寧な言葉遣い

緊張すると普段使い慣れていない言葉は出てきにくいものです。「ですます」口調だけでなく、尊敬語や謙譲語など間違いやすい言葉は普段から意識して使うようにするとよいでしょう。間違いやすい言葉の事例を紹介します。

✖️「⚪︎⚪︎させていただきました」→◯「⚪︎⚪︎しました」
✖️「よろしかったでしょうか」→◯「よろしいでしょうか」
✖️「了解しました」→◯「かしこまりました」

面接中の姿勢

面接は基本的に椅子に座った状態で行われます。椅子の背もたれに背が付かないように浅く腰掛け、女性であれば膝を閉じて太ももの上に手を重ねて置き、男性であれば肩幅程度に膝を開いて両方の太ももに拳を置きます。背筋をのばし、頭から爪先まで同じ方向を向くように意識しましょう。自分の姿勢は自分では見えないので気づきにくいところもあるかと思いますが、鏡などで座った姿勢を確認しておくと安心ですね。

面接中の視線

面接中はどこを見たらよいのか、目線に困る方も多いと思います。基本的には面接官の目を見て話しますが、じっと見つめ過ぎるのも相手に圧をあたえてしまいます。少しだけ視線をずらし、相手の鼻のあたりを見ると自然な目線になるでしょう。

ハキハキとした話し方と返事

面接官にハッキリと届く声で、思っているより少しゆっくりと話すようにします。緊張すると早口になってしまうことが多いので、相手が聞き取りやすいような配慮が必要です。

また、「あ〜」「えっと」など、返事の前に一言付け加えてしまう、いわゆるフィラーを使うのは避けるようにしましょう。自信がなく迷いがあるような印象を与えてしまいます。

面接官が話している時の相槌

面接官の話には適切な相槌を打つようにしましょう。「うん、うん」「なるほど」と相槌を打つと聞き上手のような印象がありますが、目上の方には失礼に当たりますので使わないようにします。「はい」「左様でございましたか」などが正しい敬語とされていますが、「左様」は普段使う機会が少なく、かしこまった堅い印象があり違和感があるかもしれません。「そうですね」など自然な言葉で笑顔で相槌を打つのが無難でしょう。
また、「なるほどですね」と言った誤った言葉については、いろいろな意見があるため使わない方が無難でしょう。例えば「なるほど」と言いたい場合、声を発さなくとも、少し驚いたような表情で大きくうなづくだけでも相手にはリアクションが伝わります。
自信のない場合はこういった手法を取り入れることも意識してみてください。

質疑応答では結論から述べ、簡潔に話す

質問されたことへの回答は、まず結論から話しましょう。結論を先に話すことで、面接官に言いたいことが伝わりやすいだけでなく、話している自分も何について話せばよいかわかりやすくなります。

また、回答は長くなりすぎないようにしましょう。だらだらと話が長くなると、要点がわかりにくくなったり質問の意図からそれてしまう可能性があります。

そうならないためにも、ある程度質問の予測を立てて回答の準備をしておくと安心です。後で詳しい回答事例を紹介していますのでそちらも合わせて参考にしてください。

採用面接の流れ

では実際に面接の場面を想像してみましょう。ここからは入室から退室までの一連の流れを紹介します。園によっては流れが違ったり、ここまできちんとした流れではない可能性もありますが、ある程度の基本的な流れやマナーは社会人として知っておくとよいでしょう。

①入室・着席

ドアをノックするところから面接は始まっていますので、入室から緊張感をもってのぞみましょう。ドアをノックして相手の返事を待ってから「失礼します」と声を掛け入室します。ドアはきちんと閉まるまでドアノブに手を添えます。椅子の横に進んで簡単に自己紹介をして着席後、面接官とのやりとりが始まります。

②自己紹介

名前や学校名だけでなく、これまで学んできたことや、保育や子どもに関する経験があれば簡単に触れ、最後は「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶で締めます。

③志望動機

「なぜこの園に応募したのか」ということについて聞かれます。ここでなくてはならないとい具体的な理由、エピソードなどを簡潔に話します。「なぜ保育士になろうと思ったのか」など合わせて聞かれる場合もありますので自分の考えをまとめておきましょう。

④質疑応答

「長所と短所を教えてください」「どのような保育士になりたいですか?」など面接官からの質問に答えます。その流れの中で自己PRについて聞かれることが多いです。

⑤園に対しての質問

こちらから質問をすることができる貴重なタイミングです。何もないという場合、園への就職意欲が低いと捉えられてしまうケースもあります。事前にいくつか質問を考えておくと安心です。

⑥退室

お礼を述べたら席を立ち、退室します。ドアの前でも再度頭を下げて、入室と同様丁寧にドアの開け閉めをしましょう。退室後も気を緩ゆるめず、園を出て見えなくなるくらいまで、スマホなどは見ないように気をつけてください。

⑦実技試験

保育園の面接の場合、合わせて実技試験がおこなわれることもあります。内容は園によってさまざまですが、絵本の読み聞かせやピアノ、中には半日保育などを行う場合もあるようです。事前に通達される場合が多いので内容をしっかり確認し、実技試験に向けての準備も合わせてすすめておきましょう。

【面接のポイント】入室・着席

入室時の動きや声、表情は、全て面接官への第一印象となるため、ここでの印象が面接中の質疑応答に影響を与える可能性は非常に大きいです。マナーは守れていても、一夜漬けで覚えたようなぎこちない動きであったり、緊張して挨拶の声が小さかったりすると印象はよくありません。普段から丁寧なドアの開け閉めやハキハキとした挨拶を心がけておき、面接時も自然に振る舞えると好印象です。

入室で面接官がチェックするポイント

◆社会人としてのマナーは守れているか
◆とってつけたような動きではなく、自然な所作であるか
◆ハキハキとした挨拶ができるか

入室の流れ

①ドアを3回ノックして入室
案内をされたら、ドアを3回ノックします。「どうぞ」と声がかかったら「失礼いたします」と断ってからドアを開けて入室しましょう。

②ドアを閉めてから一礼
入室後、一度振り返って静かにドアを閉めます。改めて面接官の方を向きなおし「よろしくお願いいたします」と軽く一礼しましょう。面接官に背中を向けるのは不安に思うかもしれませんが、後ろ手にドアを閉めるのはNGです。

③椅子の横で自己紹介
椅子の横へ進み「お名前をどうぞ」と促されたら最初の自己紹介です。「⚪︎⚪︎大学⚪︎⚪︎学科の⚪︎⚪︎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」と言ってから深めの一礼をします。最後まで言い終わってから礼をするよう気をつけてください。

④着席
「どうぞ」や「おかけください」と言われたら「失礼します」と軽く礼をして着席します。鞄などがあれば、椅子の横に置きましょう。

その他の注意点
園によっては先に部屋に通され、あとから面接官が入室してくる場合もあります。その場合は座っていたとしても、必ず立って相手を迎えるようにしましょう。

【面接のポイント】自己紹介

学校名や氏名、自分はどんな人物かを伝える自己紹介では、面接で最初に話すことが多いです。表情や声のトーンなど、明るい雰囲気で話すことができると好印象です。しかし自己紹介は、あくまで自己紹介です。自己PRとは別ですので、あまり時間をかけて話してよい場面ではないということを意識しておきましょう。また、冒頭に面接を受けるにあたってのお礼を伝えることを忘れないでくださいね。

自己紹介で面接官がチェックするポイント

◆履歴書に書いてあることの確認
◆話し方や表情は明るい雰囲気であるか
◆自己PRのように長々と話しすぎていないか

自己紹介の事例

「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。ほいしる大学こども学部の田中あかりと申します。大学で保育について学ぶうち、絵本が豊かな心の成長に欠かせないことを知り、現在絵本に関連する資格を取得するため勉強中です。就職後は子どもたちと一緒にたくさんの絵本を読んでいきたいと考えています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」

「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。ほいしる大学こども学部の田中あかりと申します。私は大学でダンスサークルに所属しており、副部長として活動しています。身体を動かすことが大好きで、子どもたちに運動の楽しさを伝えていけるような保育士になりたいと考えています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」

【面接のポイント】志望動機

志望動機では、なぜこの園を志望したかという思いを聞かれます。園の方針や保育内容を理解したうえで、どこに共感したか、自分のどんな部分が役に立てると思ったのかを話すと効果的です。ほかの園でも通用する内容だと、そこをつっこまれてしまう可能性もあるので、どうしてもここで働きたいという熱意を伝えたいですね。また、履歴書に書いてある内容そのまま話すだけでは、それ以上のことはないのかと思われてしまいますので、さらに掘り下げたり、具体的なエピソードを追加して話すようにしましょう。

志望動機で面接官がチェックするポイント

◆ここで働きたいという熱意や仕事への意欲はあるか
◆園の方針や仕事内容を理解しているか
◆履歴書に書いてある以上のことを話しているか

志望動機の事例

「私は貴園の絵本に対する考え方や保育内容に大変魅力を感じました。実際の保育の様子を拝見したく先日園見学をさせていただいたところ、絵本の蔵書量、子どもたちの絵本への興味の強さ、そして絵本を通した豊かな保育のしかたに圧倒され、ぜひここで保育士として働きたいと思い志望いたしました。」

「私は貴園の自然豊かな環境と、それを巧みに利用した保育内容に魅力を感じ、貴園を志望いたしました。大学でボランティア活動として幼児の自然クラブに参加していた経験を活かし、子どもたちに自然に触れる楽しさを伝えていけるような保育士になりたいと考えています。」

【面接のポイント】質疑応答

質疑応答では、どういった人物か、意欲はあるかなど、より具体的に掘り下げる質問をされます。それぞれの質問に意図があり、間違ったちぐはぐな回答をしてしまうと印象が悪くなってしまう場合があります。意図を正しく理解して、的確な答えができるようさまざまな質問を想定しておきましょう。

質疑応答で面接官がチェックするポイント

◆質問の意図を理解して、それに沿った回答ができているか
◆悩んだりせず、しっかりと自分の考えを話せているか

よくある質問

「自己PRをしてください。」
「長所と短所はなんですか?」
「なぜ保育士になりたいと思いましたか?」
など、よくある質問について、答える際のポイントや例文を記事の後半でまとめています。
ぜひそちらも参考にしてください。

【面接のポイント】園に対しての質問

いわゆる逆質問と言われる「何か質問はありますか? 」という質問です。ここでは園に対しての理解や、興味関心を持っているか、意欲はあるかを見られていますので、質問がないというのは印象がよくありません。事前に考えておくのが一番よいですが、面接中に解決してしまうケースも少なくありませんので、最低でも5つ程度の質問を用意しておくと安心でしょう。

また、ホームページや求人情報で調べればわかるような質問はNGです。園の情報をしっかりと理解したうえで質問を考えるようにしましょう。

園に対しての質問で面接官がチェックするポイント

◆調べてわかることを質問していないか
◆園への興味関心、意欲はあるか

園に対しての質問の事例

【調べたうえでわからない点、興味のある点を質問】
「ホームページに⚪︎⚪︎といった行事予定がありましたが、具体的にはどのような行事でしょうか。」

【実際に園の様子を見て感じたことを質問】
「さきほどこちらに案内される際にホールを通りましたが、園内の遊具や設備が大変充実していると感じました。遊具や設備の管理にあたって配慮している点があればお伺いしたく思います。」

【労働条件についての質問】
「就職後も子どもに関する資格取得や勉強を続けたいと考えているのですが、失礼ながら貴園ではどの程度残業があるかお伺いしてもよろしいでしょうか。」

【面接のポイント】実技試験

ここではいくつかの実技試験について簡単に紹介します。

ピアノ

保育園の実技試験で多いのがピアノです。課題曲が指定される場合と、自由曲とされる場合、そして初見で弾く場合などがあります。

ピアノが苦手な方は不安になると思いますが、必ずしもピアノの力量で合否が分かれるわけではありません。課題に熱意を持って取り組むか、就職後に練習しようという意欲はあるかなども見られています。まずは最後まで諦めずに弾き終えることが肝心です。

絵本

好きな絵本を一冊持ち込み、面接官に対し読み聞かせをするケースが多いようです。好きな絵本といっても、あまりに短い絵本や長すぎる絵本は避けた方がよいでしょう。

面接官の前で読むのは緊張すると思いますが、子どもの前で読み聞かせをしているつもりで読むことがポイントです。絵がなくてもその場面を想像できるような抑揚のつけ方、登場人物によって声色を変えるなど、子どもを楽しませようとする気持ちで読み進めましょう。

また、絵本を持つ手がぐらついたり、絵本がかたむいていると見ているほうは集中できません。途中で絵本から子どもへ視線を向けることも大切ですので、事前に暗記するくらい読み込んでおくと安心です。

手遊び

手遊びのポイントは、笑顔です。子どもの前で手遊びをすることを想定して、笑顔で元気に歌いましょう。音程などは地域や園によって違うことが多いですが、本に掲載されている手遊びは音程に間違いがないのでオススメです。また、いきなり手遊びを始めるのではなく、導入から手遊びにつなげるようにします。面接官は、子どもの前で明るく楽しい雰囲気が作れるかどうかを見ていますので、導入から練習しておくようにしましょう。

【面接のポイント】退室

面接が終わり、頭の中では反省会が始まっているかもしれませんが、最後の最後まで気を抜かず行動するようにしましょう。特に退室後に気が緩んで、つい癖でスマホを見てしまう、ため息をつくなど、園の職員に見られているかもしれませんので気をつけてください。

退室で面接官がチェックするポイント

◆退室時のマナーは守られているか
◆最後まで気を抜かずに行動できているか
◆退室後の言動はどうか

退室の流れ

①お礼を述べる
面接官が「以上で本日の面接は終了になります」などの終わりの言葉を述べたら面接終了です。「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」と笑顔で面接官の目を見てお礼を伝えてから一礼します。

②立ち上がって一礼
入室時のように椅子の横に立ち「失礼いたします」と挨拶し、深く丁寧に一礼します。机に向かうなどして面接していた場合は椅子をおさめてから一礼し、ドアに向かいましょう。

③ドアの前で再度一礼
ドアの前まで進んだら振り返り面接官のほうを見て、「失礼いたします」と挨拶し再度一礼します。この時も深めの礼をしましょう。顔を上げた時に面接官の目を見るようにすると印象がよくなります。

④退室する
静かにドアを開けて退室します。ドアを閉める時も面接官の方を向きながら閉めるようにしましょう。後ろ手に閉めると最後の印象が悪くなってしまう可能性があります。退室後も園を出るまで気を抜かず、ほかの職員がいれば挨拶をするなどしましょう。

質疑応答の事例10選(注意するポイントと回答事例)

面接でのよくある質問

ここでは面接で質問されることの多い質問について、注意するポイントと回答事例を合わせて紹介します。

「自己PRをしてください」

自己PRは、保育士として働くうえでどんな強みがあるか、保育に活かせる特技はあるかなどを伝えます。これまでの学校生活やボランティアなどで保育に活かすことのできる経験があれば具体的なエピソードを含めると話しやすいでしょう。

「私は15年間ピアノを習っており、現在もレッスンを続けています。高校生の頃には県のコンクールで入賞した経験もあります。そこに至るまでに、辛い時期もありましたが、もともとのポジティブな性格もあり、乗り越えて当日に力を発揮することができました。また、地域の合唱サークルでは伴奏を担当しており、その中で歌いやすいような伴奏や、参加している子どもたちが楽しく歌えることを心がけてきました。就職後は子どもたちに音楽の楽しさを伝えられる保育士になりたいと考えています。」

「自分の長所と短所を教えてください」

長所については、自分の性格のよいところを保育に絡めて話せると好印象です。短所はただよくないところを話すのではなく、これまでその短所をどう補ってきたか、逆に短所がよい方向に転じたエピソードなどを伝えるとよいでしょう。

「私の長所は人見知りをせず、誰とでも臆せず話ができるところです。研修会などはじめての人が集まる場では、積極的に進行役となり場がまとまるよう務めてまいりました。
短所はせっかちなところです。何事も時間を有効に使いたいと思い、気が急いてしまう傾向にあるため、行動する前に確認したり、周囲の人にも意見を聞いてから動くように心がけています。」

「なぜ保育士になろうと思いましたか?」

保育士になりたいと思ったきっかけを伝えます。「子どもが好き」などのありきたりな回答にならないよう、具体的なエピソードや思いを盛り込むことで熱意が伝わるようにしたいですね。

「私は子どもが好きで、高校生のころから保育の現場で働きたいと思っていました。最初は幼稚園、保育園のどちらがよいという希望はなかったのですが、大学で発達障害について学んだことをきっかけに、障害児保育について興味を持ち、0歳から就学前まで長く子どもの発達や成長を見守ることのできる保育園で働きたいと強く思うようになりました。」

「保育士という仕事の魅力は何だと思いますか。」

この質問では、保育士という仕事をどこまで理解しているか、どの程度の熱意があるかなどを聞かれているといえます。大変な仕事だと理解したうえでこの仕事をやりたい、という気持ちを伝えることがポイントです。

「ありきたりな答えになりますが、やはりやりがいがあるという点に魅力を感じます。保育実習で運動会のお手伝いをする機会があったのですが、たった数週間しか参加していない私でも当日の子どもたちの姿には胸を打たれました。そのときの担任の先生が涙しているのを見て、この仕事にはほかに変えられないやりがいがあるのだと確信した次第です。」

「どんな保育士になりたいですか?」

これと似た質問に「どんな保育をしたいですか?」というものもありますが、どちらも保育観が園の方針や雰囲気とあっているかどうかがポイントになります。事前に調べた情報から大きく逸脱した内容にならないよう気をつけてください。以下の例文は新設された保育所や、ICT化をはかっている園と設定した場合です。

「保育に関する情報は常に更新されていきますので、日々アンテナを張り新しい情報を受信し続けられるような保育士になりたいです。昔からこうやっているから、と思考を停止してしまうのではなく、常に目の前の子どものことを考えて最善の方法を見つけられるように、新しい情報は大切だと考えているからです。」

「今までで頑張ったことを教えてください」

自己PRにもつながる質問ですが、こういった聞き方をされるケースもあります。目の前の課題に対してどういった取り組み方をするのか、という人柄を見られていると言えます。何を持って頑張ったと言えるのかがわかりやすいよう、頑張りによって得た成果や実績もしっかり伝えましょう。

「私は大学での4年間、地域の子ども達の通う自然クラブでボランティアをしておりました。はじめはスタッフの方の指示に従うだけで精一杯で、なかなか自分から行動することができませんでした。そんな中、同じボランティアの学生たちでイベントを任されることになりました。学生たちと相談しながらイベントに間に合うよう準備したり、子どもたちに安全に参加してもらえるような工夫を考えたりするうちに、これまでのスタッフの方の指示がどういう意図であったかに気付くことができ、そこからさらにイベントで気をつけるべきことにも考えが及ぶようになりました。そのおかげでイベントは子どもたちに大好評という結果をおさめ、スタッフの方にもこれまでの学生の企画の中で一番よかったと仰っていただくことができました。」

「今までで大変だったことを教えてください」

上記の質問と似ているようですが、こちらはどんなことに対して辛いと感じるのか、また困難をどう乗り越えるかという点に重きをおいた質問になります。仕事で大変なことがあった場合にどう対応するのかという見方をされますので、大変だという感想だけでなく途中経過やその結果も合わせて伝えられるような構成にするのがポイントです。

「卒業課題で取り組んだオペレッタにおける人間関係の修復についてです。
大学の卒業課題で、数グループにわかれてオペレッタを制作することになり、私は総指揮を取る立場になりました。はじめはみんな自分の役割を楽しんでいたのですが、ある日役者と道具係が揉めていることがわかり、すぐに話を聞きにいきました。そのとき、どちらの言い分も決して間違いではなく、お互いの仕事を真剣に取り組んでいるからこその言い分だったので困ってしまい、その日のうちに解決することはできませんでした。そこで、お互いの了承を得てグループの仲間に意見を聞いてみることにしたところ、いくつかの意見が出るうちに、揉めていた仲間も落ち着いて話をしてくれるようになり、しっかり解決することができました。この経験から、どちらかが悪いからケンカになるという考え方を改め、双方の話を聞くことや、周囲の意見も大切にすべきことを学びました。」

「趣味や特技はありますか」

自己PRの機会がなければ、ここで伝えられるでしょう。自己PRについての質問がすでにされたうえでの質問であれば、別のものを答えることになります。保育と関係ないことでも、その趣味や特技で得たコミュニケーション力や、協調性、リーダーシップなどについて伝えられると好印象です。

「手芸が趣味であり、特技でもあります。ちょっとしたポーチなどの小物から、親戚の子どもに服を作ってあげたこともあります。保育園では発表会の衣装作りなどがあると思いますが、丁寧に効率よく作ることができると思います。」

「最近気になるニュースを教えてください。」

事前準備の項目でも紹介しましたが、保育業界や子育てに関するニュースには常日頃から意識を向けておきましょう。面接の前に、気になるニュースをいくつかピックアップし、それについての自分の意見をまとめておくと答えやすいです。

「私が最近気になっているニュースは、児童虐待問題についてです。児童相談所の虐待に関する対応件数が2019年度の統計で過去最多となり、業界のみならず一般的にも広く知られる問題となっています。保育士として何ができるのかと考えたときに、私にはまだ知識も経験も足りないと思い知らされました。就職後に現場での経験を重ね、子どもの変化にいち早く気付けるような保育士になりたいと強く思うきっかけになったニュースです。」

「ピアノは得意ですか」

よく聞かれる質問ではありますが、苦手だから面接に落とされるというわけではありません。得意でなければ素直に得意ではないことを、そして現在懸命に練習していることや、就職後にも練習を重ねてしっかり弾けるようになりたいという熱意を伝えましょう。

【ピアノが得意の場合】
「はい、ピアノは得意です。⚪︎歳からピアノを習っており、⚪︎歳まで続けておりました。現在学校でもピアノの授業で童謡の弾き語りなどを学んでおり、子ども達と一緒に歌うことを楽しみにしています。」

【ピアノが得意ではない場合】
「恥ずかしながらピアノは得意ではありません。短大の授業で初めて学び始めました。ですが保育士になるためにピアノは必須と思い、現在授業時間のほかにも練習室を借りるなどして簡単な曲であれば弾けるようになりました。就職後もピアノが必要な場面は多いと思いますので、引き続き練習を重ねていきたいと考えています。」

面接は事前準備と練習が大切

この記事では一般的な保育士の面接について網羅しました。大切なのは事前準備と練習です。どれだけよい成績や実績があったとしても、園にとっては面接でのやりとりが重要な判断要素となります。面接が近くなってから焦ることのないように、繰り返し練習を重ねて自然な受け答えができるようにしたいですね。

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